SUPERBALLING

とりあえず、好きなことともの。気になったことや疑問。あたりで書いてます。

「ご本、出しときますね?」5

はじめにあらかじめ書いておきますが、終始和やか、賑やかで楽しそうな収録でしたよ。若林さんのツッコミを全部拾うのが大変だし、言葉の雰囲気を考えてメモるのも大変だから多々はしょってるし間違ってるかもしれんから、どうぞよろしければ動画で。

 

 

5/13 島本理生佐藤友哉(夫婦)
若:資料見たら、お互いの呼び方が変わってるという。夫婦で苗字呼びは変でしょう。笑  なんか理由ってあったんですか?
島:付き合いはじめの頃に「名前で呼んでいい?」て聞いたんですね。そしたら「いいよー。」て言うから呼んだら、すっごい怒ってこの人。
佐:年下なのに呼び捨てで呼ばれたから、ビックリしちゃって。先輩なのにとかありましたよ。それで怒っちゃってね。
島:私もうカンカンになって、一生名前で呼ばないって。
 
若:お互いの作品は読みますか?
島:私、佐藤さんのはほぼ全部読んでます。
佐:あんまり…。あんまり読んでない…。こう言ったら語弊があるんですけども、女性作家の本ってほとんど読まないんですよ。
若:島本さんは読んで欲しい気持ちってあったりします? 
島:最初はあったんですけど、最近はでも、私恋愛小説とかたくさん書いてるので、読まれると都合が悪いことがどんどん出てきて。一昨年ぐらいに出した本が不倫小説で、しかもセックスレスがテーマで、旦那さんの不満が前半結構バァーッて書いてあるんですよ。もちろんモデルじゃないんですけど、ただあんまり読まれた方がいい内容じゃないなと。
 
若:本の感想は伝えてるんですよね?そういうのって難しくないですか?
島:良くなかった時は感想言わないです。
佐:良くなかったのあったの⁉︎ 全肯定だと思ってた。
島:すごい自信だね。
佐:どれ?どれ?
若:今はいいじゃないですかね〜。
佐:帰りしなにちょっと聞きます。あ〜ビックリした〜。全部信頼をね、得てると思ってた。そっかー、そりゃ良し悪しはあるよね。冷静になってみたら。
 
「芸風・作風というのは変えられると思いますか?」
佐:以前ですね、ノンスタイルの石田君と出版社の企画で一度話をさせていただいて。まだノンスタイルがブレイクする前夜ぐらいですかね。笑い飯がシュールなギャグで一世を風靡しだしたっていう時があったらしくて、その時に他の漫才師の方々も「これは俺たちもシュールでいかなきゃいかん!」と、ちょっと作風変えなきゃいかんと、ちょっとムチャをやって肩を壊したという話を石田さんから伺ったんですね。それで、僕も作風や芸風は変えられないものなので、変えようとしたらやっぱ肩一回ヤッちゃったんで、皆さんはどうなんだろうと。
若:これはおもしろいっすね。あの、元々春日がツッコミで、僕がボケっていう漫才から始まって、スタートから肩壊してたんですよ。2人とも肩ボロボロから始まって、初級投げる前からヤッちゃってて。むしろ投げ方。自分にあった投げ方を見つけるという10年でしたかね。
全く今まで書いたことのないフィールドに行こうという時は、取材とかするんですか?
島:私はすごくします。
若:例えばどういうジャンルに踏み込む時にどんな取材をしたんですかね?
島:例えば知らない職業書く時は、必ずその何人かの職業の人に話を聞きに行きました。前はグラビア系のカメラマンさんに何人か話を聞きにいったりしたことがあって、やっぱりたて続けに聞くとこの職業の人ってこういう雰囲気なんだなってつかめるんですよね。職業でやっぱり雰囲気って違うんですよ人によって。それは毎回やりますね。
佐:僕は書く小説が、例えばですけども、50人のおばあちゃんと巨大熊が戦うとか、そういうやつなので。どうかしてるから、取材する対象が熊ぐらいしか見つからないんですよ。のぼりべつクマ牧場に行ってきました。のぼりべつクマ牧場の熊たちは、飼いならされた牙を抜かれた熊でしたが。もっと野生のを見たかったんですが。クッキーが欲しいから何もしてないのに芸をし始めるんですね。そういうんじゃないんだと。
 
「登場人物のモデルはいますか?」
若:島本さん、例えば先ほどの話で不倫の小説とかでモデルとかって?
佐:ゲスなお相手がいるの?
若:そりゃーいる訳ないですよね島本さん。
島:そうですねいる訳ないですね。それ以外なんて言えばいいのよ。
若:他の恋愛とかの小説のときには、誰かっていうのはないですか?
島:いや、だいたいいます。でも足してあったりします。2、3人のイメージが足してできたりとか。あと自分が付き合ってたとかじゃなくて、知り合いの男の人のイメージをちょっと反映させたりすることはあります。
若:そういうのって、ノートとかで登場人物のことを書いたりするのがあるんですか?
島:逆に書かないと忘れちゃうようなことは小説にはならないです。これ書きたいなと思ってからずーっと覚えてられるぐらいのできごとだったりとか会話だったりじゃないと、小説に書いてもそんなに良い場面にならないとか。
佐:よく聞くそれ。僕はメモとらないと全部忘れちゃうから、メモとってます。
若:佐藤さんは、けっこう描写が激しいって言っていいんですかね。ていうのになると、こういうとんでもない悪いことをする人っていうのは、こういう人ですよっていうノートがあったりするんですか?
佐:悪い人ノートがあるわけじゃないですけれども。そういう人間はモデルがいるわけじゃなくて、自分の中にいる人の、多重人格というわけじゃないけれどもいろんな思いやいろんな妄想やいろんな人格というものが、わりかし人の頭の中にはあるので、それの一部分を出力するので。そういう意味じゃ登場人物のモデルっていうのはだいたい全部自分ですね。
 
若:ほんとに下世話なレベル低い質問かもしれないですけど、なかなか激しいじゃないですか佐藤さんの、それが佐藤さんの頭の中にあると思うと、旦那として怖くないですか?
佐:僕だったらヤだよ。
島:付き合いはじめの頃に、けっこう同じ部屋で執筆したりするんですよ。2人で小説書いてた時に佐藤さんが、「君さあ、ちょっとぬいぐるみ食べてみてくれない?」て言うんですね。だから、「佐藤さん、私はぬいぐるみは食べられませんよ。」て言ったら、「そっかあ。」て。何今の会話って!  全然わかんないこの人は。
 
若:どういう出会いだったんですかちなみに。
島:作家合コンです。一度だけあったんです。その時の様子を、作家の乙一さんがエッセイで書いてて。
若:佐藤さんと乙一さんとかが合コンメンバーってちょースゴイっすね。超コワイじゃないですか。
佐:そんな合コン行きたくないですよねー。
若:正直、ハイ。
島:私は飲み会って聞いてて。作家さんと飲み会がありますよって編集の方に誘ってもらって。
若:その時に初めて会って、島本さんの印象どうでした?
佐:彼女は合コン慣れしてたらしくてですね。合コンの鉄則なのかわからないんですけども、遅れて来たんですよ。
島:私その時大学生で、大学の授業の後だったんですよ。ワザとじゃない。ていう話をこの人に5回ぐらいしてますよ。
若:佐藤さんの印象は?
島:佐藤さん昔は、人と目を見て話せないので有名だったんですね。合コン中もずーっと下向いて喋ってるんで、正直どういう顔して話してるのかさえもよくわからなかった。
若:僕もわかるんすよ、人の目を見れないって。それは最初の出会いからどれぐらい経って出会うことになったんですか?
島:最初の出会いからしばらく経って、きっかけがゾンビ。佐藤さんすごくゾンビものが好きなんですね、ゾンビ映画とかゾンビ漫画とかすごい好きで。その時も、ゾンビ映画をDVDで見たいと、でも1人で見るのがコワイからイヤだと、だから一緒に見てくれって言われた。
若:それ言葉アレですけど、ヤリチンの誘い方じゃないですか!笑  すいませんねーほんとにー。こんなセリフ言うつもりなかったんですけどこの番組では。でもコワイのはほんとだったんですよね。
佐:ほんとです。僕友達も一貫していないから。
 
「依頼の時点で微妙な感じがした仕事は必ずトラブルが起きる」
島:だいたい仕事の依頼って最初メールでくるんですけど、条件も悪くないし別に丁寧なんだけど、なんか変って時があるんですね。でもべつに断る理由がなかったら受けるじゃないですか。そうするとだいたい後から後から、これもやってあれもやってになったりとか。今でも憶えてるのが、最初っからメールの文面がすごい丁寧なんですけど、ちょっと大げさなんですね。「島本先生に是非ともこのテーマで書いていただきたく、お忙しい中大変申し訳ありません。このタイトなスケジュールで」みたいな。
若:これ僕もね、勘であるんですよ。一番気をつけてるのが最初の打ち合わせで「ヤバイことやりましょうよ」て言われたら、あーこれはマズイなって思いますね。
佐:そんな人いるんですか?  テレビの人みたいなこと言うテレビの人が。
 
「肩書きに作家とついている作家以外の人間を信用しない」
佐:作家って免許制じゃないんですよ、資格いらないじゃないですか。極端なこと言っちゃえば、作家って名乗っちゃったら作家なんですよ。そういうのもあってだと思うんですけれども、一部の芸能人の方や文化人の方に、例えばですけどモデルで作家とか。ライター兼作家とか。そういう風に盛ってる人いるじゃないですか。そういう人を見ると、「じゃあお前の書いた本見せてみろよ」という気持ちになって仕方がないんですよ。
若:ということは本業じゃない方は信用しないみたいなぐらいですかね。
佐:もちろん天が二物を与える場合もありますよ。でも9割はそうじゃない奴らじゃないですか。「野菜ソムリエ」みたいに欄に盛ってる感じの。いくつもつけてる人はいくつもつけてる感じの人だから、居た堪れないし許せない。
 
「嫌いなものの批評はしない」
島:どうしても小説でもなんでも、自分には全然わからないものってあるんですね。これは評価されてるけど自分にはピンとこないとか、自分はあまり好きじゃないとか。でも自分がわからないものに対して安易に批評するのはやめようと思っていて。自分がわからないもので、明日救われる誰かがいるかもしれないっていう風に思うんですね。
若:これは佐藤さんどうですか?  批評してくださいって仕事がきた場合、例えばわかんないものとかの場合。
佐:結局好きなものって限りがあるから、嫌いなもの興味の無いものの中からしか、次の好きなものは生まれないって思ってるんですよ。だから僕はこんな性格なんで、好きなものは2〜3個しかこの星には存在しないんですけれども、でも増やしていこうとか、増やしていかないと広がっていかないから、けっこう嫌いなものをヤだなヤだなと思いつつも、視界の片隅に留めておくような作業を続けてます。
若:ちなみにこの星にある好きなものっていうのは何ですか?
佐:1つは月並みですけど、この妻との生活。
若:急にいい旦那出てきて気失いそうになりました今。まさかそっから球飛んでくるとは思わなかった。他は趣味とか…?
佐:熊。具体的にはヒグマですよ。
 
「夫婦がテーマのオススメ本は?」
島:今まで読んだ中でこれスゴイなと思ったのは、「死の棘」っていう作品があるんですけど。島尾敏雄さん。夫婦生活10年以上経ってんのかな、で浮気がバレるんです。奥さんもう怒り狂って怒り狂って毎晩毎朝責められて、もうお互い生きるか死ぬか、殺すか殺されるかを、永遠永遠書いてるだけの小説なんですけど。あれはけっこう浮気小説としてのリアルさでは最高峰だと思います。

 

 

佐藤さんがことさら特殊といのは見ててわかりやすかったですが、「ちょっとぬいぐるみ食べてくれない?」ってさらっと言えるエキセントリックさは、きっと魅力です。

(なんの立場からかはさておいて)、いい奥様が見つかってよかったですね。めでたしめでたし。