「偶数と奇数」
ブログとは本来どういうものか、ということは一旦置いておいて...
自分が好きなものなり、気になったものなりについて素直に書いていく
自分用のアーカイブとして書いていこうと思います。
============
前から好きだった箭内道彦さんの本です。気になって読んでみた次第。
この本全体の言葉に熱い気持ちがこもってるような気がして、
読んでいてとても心地良かったです。
興味深い内容がたくさんありましたが、特に一つ気になった題目が、
「3」という題目。
「偶数と奇数、どっちが好きですか?」
箭内さんは、会う人会う人に必ずこの質問をしていた頃があるそうです。
総計何千人と訊いて、箭内さんなりの統計を出した。
「偶数好きの人」は、目の前の物事が割り切れていないと気が済まない人。竹を綺麗に真っぷたつに割ったように。
「奇数好きの人」は、逆に割り切れないものに心惹かれてしまう人。割り切れてしまうことを怖がってしまう人。」と。
そして箭内さん自身は、奇数が大好きなようである。その理由は本の方に細かく紹介してくれています。
箭内さんが手がけたCMも好きで、その理由もよく言葉にできていなかったけど、なぜかその文言を見て、腑に落ちてしまいました。
例えばゼクシィのCM。
このCMを作る過程のお話も本に書いてくれていました。
箭内さん自身が未婚で独身。紆余曲折がありつつCMを作ることになったが、企画作業が早期に一度頓挫。「結婚ってこういうもの」を断言しようとすればするほど迷路を彷徨う。
そして、箭内さんのクリエイティブディレクションは「結婚とは◯◯である。」と言い切ることを放棄した。夫婦の数だけきっとその回答は存在する。それらを知らない、だからこそ教えてください、と。
「結婚のいいところって何ですか?」 答えがなくても構わないから。
さぁみんな、こうしよう!って誘うんじゃなく。
「結婚したらこうなった」というアフターの単なる事例集。
それは商品広告の王道「使用例」「成功例」そのものである、と。
扱っているもの自体が、「結婚」というある意味特殊なものであるし、だからこそ言い切れない難しさは他の様々なお仕事に比べて甚だ強かったと思います。
それでも、あえてこのお二人を選んだ意味。
きっと箭内さん自身が、「言葉にしつくせないような絵を、これからも探し続ける」んだろうなって、一視聴者として感じました。
楽しみにし続ける次第。