SUPERBALLING

とりあえず、好きなことともの。気になったことや疑問。あたりで書いてます。

18日ほぼ日メモ

今日のダーリンより

・ヒグチユウコさんの絵本『すきになったら』は、
 まことに名作です。
 こどもにも読める絵本のなのですが、
 「すき」ということの気持ちよさに、
 ぼわーんと包み込まれるのかと思ったら大まちがいで、
 動悸が激しくなるような緊張感やら、
 生きものの、自らはどうすることもできない運命やら、
 怖くて美しいものがたっぷりと入っています。
 それでもなのか、それだからなのか、
 おそらく、ほんとうの「すき」を
 一度でも感じたことのある人なら、
 くらくらっとするほどの絵本体験を味わえるでしょう。
 
 絵本まるごとの内容は、そういうものですが、
 この言い方だと、ちょっとテーマ的に過ぎています。
 なんにも考えなくていいのです。
 あたえられたことばは、絵本のタイトルの
 「すきになったら」という七文字だけでもいいはずです。
 ヒグチさんの絵が、すべてを表わしているからです。

 この絵本ばかりではないのですが、
 ヒグチユウコさんの絵は、とても細密に描かれています。
 小さな草花の小さな影にさえ、
 何度も何度も往復した筆の跡が残されてあります。

 絵から離れて見えるのは、
 見事な花や果実なのかもしれませんが、
 それは、作者が1ミリメートルにも満たない距離の線を、
 幾度も引いて育て続けた結果の、花や果実なのです。
 人間の身体には、地球を2周半できるほどの長さの
 毛細血管が張り巡らされているそうです。
 ヒグチユウコの描く絵にも、どこまで遠く続く
 毛細血管のような線が命を与えているように思えます。
 
 もともと、やわらかくも涼しいユーモアのせいで、
 たくさんの人びとを招き入れることのできる
 ヒグチユウコさんの世界ですが、
 この絵本は、さらに大きな窓を開けたのではないかなぁ。
 赤い服の少女が、すべての人の手をひいてくれそうです。
 原宿で原画の展示もやってるので、よかったら、ぜひ。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
これはいいなぁというものを探してるだけでも人生は輝く。