「ゆっくりと見たいもの」
いつもテレビで放送する、映画やら気になるドラマやらお笑い番組やら、そんな諸々で気になるものを、ピックアップしたりテキトーに毎週録画にしたりで録っています。
それのほとんどを1,5〜2倍速で見るようにしています。
ずっとほおっていたらHDDの容量がえらいことになっていていたので、軽く整理しようとしたら、素晴らしかったのを思いだしたものがありました。
情熱大陸の谷川俊太郎さんの回です。(検索して気がつきましたが、まるまるyoutubeにのせてくれていました。情熱大陸も太っ腹ですね。)
録画のものは基本いつも早くして流し見ですが、これは最初からそのままゆったり見たことをおぼえています。
もう感動するとしか言いえないような詩や言葉を書いてくれる超有名な詩人さんだということは、さすがの自分も知っていました。改めてゆったりと声も聞いてみると、どこか感慨深い気もします。
谷川さんの温度がわかるような、とても心に残る内容ばかりで、言葉をぜんぶ抜粋したくなってしまいましたがそうもいかんので...。番組の中から一つだけ詩を拝借します。
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(その詩を朗読した背景として)東京の国立競技場の建て替えの問題から思い出した詩があったそうです。1970年の大阪万博のときに書いた詩。
「魂のために」
鉄は組まれるだろう
魂のために
木は伐られそしてふたたび
垂直に立つだろう
魂のために
コンクリートは渦巻き
形を与えられるだろう
鏡は青空をうつし
硝子はすきとおるだろう
魂のために
沢山の靴がすりきれるだろう
迷子は大声で泣くだろう
眼に砂埃が入るだろう
金は手から手へと渡るだろう
人々は歩きつづけ
人々はせめぎあい
人々は疲れ
なおも夢見るだろう
ただひとつ
魂のために
そして
鉄は錆びるだろう
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この後にも詩の朗読は続いていたようですが、番組で映したのはここまででした。この後の言葉も気になりますが。
それにしても驚いたのが、40年以上も前に全く違う対象に書かれた言葉であるにも関わらず、ここまで共通性が感じられる(少なくとも自分は感じています)というのは、さすがとしか言いようがないです。もちろん万博やオリンピックというものには、多くの部分で目的や理想の部分が重なって共通すると思うので、それもわかるのですがそれでも。
普遍的な言葉というのはこういうことを言うのかなって感じました。
今、改めて書いていただけるとすれば、どんな言葉が浮かぶんだろう。どんな風に違うんだろう。または同じなのかな。